在宅勤務の労務管理

国土交通省の発表によると「在宅型テレワーカー」(本来の職場には通勤せずにインターネットなどを利用して自宅で働く人)が、2012年に約930万人(前年比約1.9倍)に上り、サテライトオフィス(遠隔地事務所)の利用者などを含めたテレワーカー全体では、約100万人増の約1,400万人となったそうです。 

最近テレワークということばを耳にすることが多くなってきました。テレワークというのは勤労形態の一種で情報通信機器等を活用し時間や場所の制約を受けずに柔軟に働くことができる勤労形態のことです。テレワークで働く人をテレワーカーと呼んでいます。社団法人日本テレワーク協会の定義では、「情報通信技術(IT)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」となっています。

 もとは「職住近接」「IT環境の推進」としてサテライトオフィスやモバイルワークについて語られることが多かったのが、「ワーク・ライフ・バランス」の面で注目されるようになってきました。

 またテレワークとは別に「在宅勤務」という働き方がありますがこちらはテレワークの中の一勤労形態です。厚生労働省の定義では「事業主と雇用関係にある者が情報通信機器を活用して、労働時間の全部又は一部について自宅で業務に従事する勤務形態」となっています。テレワークには「雇用型」と「自営型」があるので必ずしも雇用関係が有るわけではありませんが、「在宅勤務」には雇用関係があるので、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法等の労働基準関係法令が適用されます。

 会社の目の届かないところで仕事をするわけですから、労働時間の把握をはじめとする労務管理に工夫が必要です。特に、事業場外みなし労働時間の適用や深夜労働・休日労働がポイントでしょう。 みなし労働時間については厚労省が次の通達を出しているので参考にしてください。

 【みなし労働時間制が適用される場合の3要件】(平20.7.28基発0728002号)
① 当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること
② 当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
③ 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

 また会社が知らないうちに在宅勤務者本人の判断で深夜や休日に仕事をする可能性があるので深夜や休日に仕事をするときは就業規則で必ず事前許可制や事後報告制にしておくことです。

事前許可制・事後報告制にもかかわらず本人が勝手に深夜や休日に仕事をした場合、厚労省のガイドラインでは、次のいずれにも該当する深夜や休日の労働は「労働基準法上の労働時間に該当しない」としています。

① 深夜又は休日に労働することについて、使用者から強制されたり、義務付けられたりした事実がないこと
② 当該労働者の当日の業務量が過大である場合や期限の設定が不適切である場合など、深夜又は休日に労働せざるを得ないような使用者からの黙示の指揮命令があったと解し得る事情がないこと
③ 深夜又は休日に当該労働者からメールが送信されていたり、深夜又は休日に労働しなければ生み出し得ないような成果物が提出 された等、深夜又は休日労働を行ったことが客観的に推測できるような事実がなく、使用者が深夜・休日の労働を知り得なかったこと

 「ワーク・ライフ・バランス」の重要性が認識されるにつれ今後『在宅勤務』は増えていくでしょう。導入にあたっては『在宅勤務規程』を整備しておくことが大切です。

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