厚生労働省は中小企業退職金共済制度(中退共)が運用難で深刻な積み立て不足に陥っていることから退職金の減額を検討する。中長期にわたって持続できるよう予定運用利回りの引き下げや、運用実績が想定を上回った場合に加入者に支給する付加退職金の減額などについて今年度中に結論を出すことにしている。
中退共は株式市場の低迷で運用実績が悪化しており、2011年度末時点で1741億円の累積欠損金を抱えている。財政健全化計画をたてたが、2011年度末時点の累積欠損金は目標値1023億円を大きく上回っている。
具体策として、予定運用利回りを現在の1%から0.8%程度まで引き下げることを検討する。2002年に3%から1%に引き下げた時には、毎月1万円の掛け金で10年納付した人のケースで退職金が約14万円減った。運用利率の引き下げにあわせて、毎月の最低掛け金を現在の5千円から増やして不足している積立金の上積みに充てる案についても検討している。
【中小企業退職金共済制度(中退共)】
中小・零細企業において単独では退職金制度をもつことが困難である実情を考慮して、昭和34年に国の中小企業対策の一環として制定された「中小企業退職金共済法」に基づき設けられた制度。運営は、独立行政法人勤労者退職金共済機構(機構)中小企業退職金共済事業本部(中退共)が当たっている。
(平成23年11月現在)
加入している企業…36万8千所 加入している従業員…327万人 運用資産…3兆5,990億円
独立行政法人勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部HPより